松枝尚嗣/堀井覚司公式サイト『松枝屋東京店』

日: 2015年1月25日

漫画業界について…1

アンクルウェイトが1kg×2から1.5kg×2となって1ヶ月強、ちょっと慣れてきました。
なんだか今度は太ももまで太くなってきましたよ。
まあ元が細かったわけですんで人並みになったとも言えますけど、そろそろ上半身との整合性が取れなくなってきた感が。悩みどころです。
あ、アンバランスと言えば「ギッチオ」っていましたねぇ、あれ別にバットマンのトゥーフェイスとか全然知らないころですからね、…ってそれはともかく。

さて、そろそろいろいろ真面目に書き記しておいたほうがいいのかなと。

漫画業界。
大変だ大変だと叫ばれるようになったのは実はずっと以前からでして、それこそ、某誌が600万部だなんだと騒いでいたころでさえ、けっこう冷ややかな意見は多かったと記憶しています。少なくとも自分は『今さら漫画じゃねぇだろ』なんて周囲に漏らしまくっていたはずです。それこそ編集さんにすら(苦笑)。
ええまあ20代後半なんてとんがりまくってましたから。ありえないほど必死でしたし。

ですんで、今のこの衰退っぷりそのものは大して驚かないんです。
漫画人口が減るであろうことも、他の娯楽との競合によってパイが削られていくであろうことも、雑誌よりもコミックスの売り上げが重要視されるようになるであろうことも、…そんなことは、21世紀になる前から予測されていたんです。
また、この稼業、歳を取ればきつくなるのは想定内です。時間とともに周囲から“脱落者”が出るのもまた想定内でした。自分の場合、だからこそ必死だったわけですが、まあ結果はご覧のとおりで(苦笑)。

ただ、そうはいっても、今のような様相になるとはさすがに予測できませんでした。

出版社が雑誌を完全に諦めてしまうとは。

あえて便宜的に“5年ごと”に区切って総括するなら、自分はこの5年間をまさにそんな期間だったと捉えています。
とにかく、出版社はもう漫画雑誌を諦めたんです。
しかも、(まあ以前からぽろぽろ触れてますが)それを“なんとなく”決定したんです。戦略も展望もないまま、ただ流されて。
結局、時流になすすべなく負けたんですね。

かつて、『雑誌が売れなくてもコミックスが売れればいい、うちはそんな本です!』と担当さんが言いきった某誌。最初こそそれに賛同していた自分も、直後に思い直し、以来むしろ“雑誌を捨てた時こそが漫画(産業の)の終わりの始まりだ”と見ていました。
なので、ついにここまで、それもこんなにあっさりと今の状況になってしまったことに驚いています。
(雑誌が滅ぶとなぜ漫画が…と思っているかはまたいつか/おい)

今、コミックスの売り上げだけが頼みのこの業界ですが(雑誌を捨てた以上仕組みもそうなっていますし)、それはかつてない“多品種少量生産”で成り立っています。要は膨大な作品数によって支えられているわけです。
パイが小さくなっているのに作品数は往時の倍近い、ってことは、個々の作品ごとの売り上げがいかに小さいかを物語っているわけでして、そうなると作家さん一人一人の状況はもう推して知るべしです。

変化の元のひとつはもちろんネットの存在です。
でも、これも何度か書きましたが、ネットは職業作家を滅ぼしこそすれ救ってはくれません。
一昨年、2013年くらいまでにぎやかだった、電子書籍がどうとか配信がどうとかこれからのネット時代の漫画業界がどうとかの議論も結局さほど広がりも深まりもせず、去年にはぱったりと途絶えてしまった印象です。そりゃそうです、結局漫画は本の形で売るのが一番儲かるんですから。
そもそも、電子書籍こそ“多品種”の最たる物です。いかに電子書籍全体の市場が伸びていると喧伝しようが、しょせん作家個人個人には微々たる影響しかないはずです。

いや、それどころか、電書で売れるほどの人なら紙でもっと売れますし。

とどのつまり、強気なのは新規参入と言ってもいい“配信側”の連中だけで、参入される側の出版社漫画家はなんの光明も見えていないんですよ。

“5年ごと”と言いました。
これからの5年は、これらの変節に厳然と答えが出ることになるでしょうね。
そしてがっつり“整理”されることになるんでしょう。もしかすると大きな再編もあるかもしれません。

その“整理”が終わったあとに、どんな様相になっているのかは…、まあ自分の想定から外れていることを祈りますが。

…でも無理でしょうねぇ。

午前8時20分

1〜2巻発売中

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